死後事務委任– CLERICAL –

死後事務委任とは

 死後事務委任とは、自分の死後において、遺族や相続人が財産の処理や手続きを円滑に進めるために、事前に指定した代理人に業務を委任する制度です。

 死後事務委任は、遺言書と同じく、自分の財産について自分で決定し、自分が望む相続人に財産を残すことができる点で、遺言書と共通しています。しかし、遺言書が遺産分割に関する指示をするのに対し、死後事務委任は、相続人に代わって遺族が行う必要のある事務について指示をすることができます。

 具体的には、葬儀の手続きや財産の処理、税金の申告手続きなどが挙げられます。死後事務委任を設定することで、相続人が遺産分割や手続きに追われることを避け、スムーズな手続きを行うことができます。

 死後事務委任は、遺言書と同様に公正証書を作成することができます。公正証書を作成することで、代理人の立場が明確になり、遺族や相続人間でのトラブルを回避することができます。

死後事務委任の内容

 死後事務委任において、代理人に任せる内容は以下のようなものがあります。

  1. 銀行口座や投資信託などの金融商品の解約・払戻し手続き
  2. 不動産の名義変更や手続き
  3. 自動車やバイク、船舶などの名義変更や手続き
  4. 遺産分割の手続きや相続税申告の手続き
  5. 国民年金や厚生年金などの年金受給資格の確認や手続き
  6. 確定申告や相続税申告書の作成など、税務関係の手続き

 これらの手続きを自分で行うのは、面倒なだけでなく、手続き内容を誤るリスクもあります。代理人に任せることで、続きをスムーズに進め、トラブルを回避することができます。ただし、代理人を選ぶ際には、信頼できる人物を選ぶことが重要です。

 

死後事務委任の委託費用

 死後事務委任にかかる委託費用は、手続き内容や代理人によって異なります。以下に、一般的な費用の目安を示します。

  1. 公証人による公正証書作成費用
    公証人による公正証書作成費用は、手続き内容によって異なりますが、数万円から数十万円程度が一般的です。

  2. 代理人に支払う報酬
    代理人に支払う報酬は、任意で設定することができます。報酬額は、手続き内容や業務量に応じて設定されることが多く、一般的に数万円から数十万円程度が相場とされています。

  3. 手続きにかかる費用
    銀行口座や不動産の名義変更など、手続きにかかる費用は、手続き内容によって異なりますが数千円から数十万円程度が一般的です。

 以上のような費用がかかりますが、トラブルを未然に防ぐことができるため、費用対効果は高いと言えます。また、代理人によっては、費用面だけでなく、手続きにかかる時間や労力も省けるため、時間や労力を節約したい場合にも、死後事務委任は有効な手段と言えます。