障害者手帳

 障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称です。制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳をお持ちの場合でも、障害者総合支援法の対象となり、様々な支援策が講じられています。また、自治体や事業者が独自に提供するサービスを受けられることもあります。

身体障害者手帳

 身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される手帳です。原則、更新はありませんが、障害の状態が軽減されるなどの変化が予想される場合には、手帳の交付から一定期間を置いた後、再認定を実施することがあります。
 身体障害者手帳制度は、身体障害者福祉法に基づき、都道府県、指定都市又は中核市において障害の認定や交付の事務が行われています。

療育手帳

 療育手帳は、児童相談所又は知的障害者更生相談所において、知的障害があると判定された方に交付される手帳です。療育手帳をお持ちの方は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体や民間事業者が提供するサービスを受けることが出来ます。
 療育手帳制度は、各自治体において、判定基準等の運用方法を定めて実施されております。

精神障害者保健福祉手帳

 精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられています。精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、1級から3級まであります。
 申請は、市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事又は指定都市市長に行います。

 精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられています。精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、1級から3級まであります。
 申請は、市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事又は指定都市市長に行います。

目次

障害者手帳を持つメリット

1.各種福祉サービスが受けられる

 障害者手帳を持つことで各種福祉サービスを受けることができます。受けられる控除やサービスは、手帳の種類によって異なります。身体障害者手帳を取得することによって受けられるサービスには、以下のものがあります。

  • 医療費負担の軽減
  • 国税や地方税の控除または減免
  • 補装具購入費の助成または支給
  • 障害者の生活支援を目的とした住宅リフォーム費の助成
  • 公共交通機関など各種運賃や通行料の割引
  • 郵便料金、NHK受信料、公共施設入館料など一部公共料金の減免または無償化

これはあくまで一部であり、また、障害の種類や等級によって変わるなど、対応は様々です。療育手帳では、補装具購入費などを除き、身体障害者手帳とほぼ同等のサービスを受けることができます。

精神障害者保健福祉手帳では、

  • 税制の優遇措置
  • NHK受信料、公共施設入館料など、一部公共料金の減免
  • 公共交通機関利用への支援や運賃の割引
  • 生活資金の貸付

などのサービスを利用することができます。
他、どの手帳でも共通に受けられるサービスとして、携帯電話の基本料金などの減免といったものもあります。

2.就職・転職で障がい者採用枠に応募できる

障害者手帳を取得することで、就労に際しても様々な配慮や支援を受けることができます。その代表的なものに、就職もしくは転職活動を行う際、一般採用枠に加え、「障害者雇用促進法」に基づく企業の障害者採用枠を活用できることが挙げられます。

障害者雇用促進法とは、一定人数の従業員を抱える企業に対して、一定割合人数の障害者雇用の義務を課すというものです。障害者雇用を積極的に行う企業にはより多くの助成金が支給され、雇用人数が法で定められた率に達しない企業については納付金が課せられます。

3.就労で様々な機関のサポートがある

 就労を希望する際には、相談支援・職業訓練支援・就職活動支援・定着支援、さらには転職支援まで、それぞれの局面で専門の機関によるサポートを受けることができます。こういったサポートは、企業への就職だけでなく、在宅での就業を希望する際にも受けることが可能です。
 代表的な支援機関としては、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、自治体などから指定を受けた一般相談支援事業者などがあり、これらの機関は相互に連携して障害者の就労支援に務めています。

手帳の等級、対象者

 身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳は、それぞれ申請方法が異なり、更には対象者の障害の種類や程度によって判定された「等級」が記載されます。

1.身体障害者手帳
身体障害者手帳の交付対象となる疾患と等級は、次のようなものになります。

  • 視覚障害:1~6級
  • 聴覚又は平衡機能の障害:1~6級
  • 肢体不自由:1~7級(体幹のみ~5級)
  • 内臓または免疫機能の障害(心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう若しくは直腸、小腸、肝臓、免疫):1~4級

2.精神障害者保健福祉
 精神障害者保健福祉手帳には、1~3級までの等級があります。原則として全ての精神疾患を対象とし、その中に含まれる精神疾患は次のようなものになります。

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、躁うつ病など)
  • てんかん
  • アルコール依存症や薬物依存症、あるいはそれらを要因とする急性中毒
  • 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害など)
  • 発達障害(自閉症、ADHD、学習障害など)
  • その他の精神疾患

3.療育手帳
 療育手帳は、昭和48年に厚生省から発行されたガイドラインに基づく制度で、主に知的障害を持った子どもへの支援を目的としたものです。自治体や政令指定都市それぞれが独自の認定基準や支援内容などを定めて運用しているため、等級の数や区分なども場所によって異なりますが、おおむね、重度「A」とそれ以外の中軽度「B」に分けられている場合が多いです。
 ちなみに横浜市では、A1(最重度 IQ20以下)、A2(重度 IQ21~35)、B1(中度 IQ36~50)、B2(軽度 IQ51~75)の4つ障害の程度があります。

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